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この記事の要点

先に、全体像をつかむ

本州と九州を結ぶ道路は、現在「関門橋」と「関門トンネル」の2つだけ。どちらも老朽化が進むなか、2026年7月には国の小委員会が開かれ、下関北九州道路の必要性をめぐる議論が動き出しています。

  1. 本州と九州を結ぶ道路は、今もこの2つだけ

    現在、自動車で本州と九州を行き来できる道路は、「関門橋」(関門自動車道)と「関門トンネル」(国道2号)の2ルートに限られています。

  2. 関門橋の52年 — 開通当時「東洋一」、今は老朽化対策の最中

    関門橋は1973年(昭和48年)11月14日に開通した吊り橋で、全長1,068m・最大支間712mは、開通当時、日本国内はもとより東洋一の規模を誇りました。

  3. 関門トンネルの68年 — 交通量は減少も、老朽化と事故のリスクは深刻

    関門トンネル(国道2号)は、1958年(昭和33年)3月9日に開通した海底トンネルです。着工から21年もの歳月をかけて完成した、当時としては大規模な土木事業でした。

下関北九州道路はなぜ必要?老朽化する関門橋・関門トンネルの現状と『第3のルート』への期待

夜明けの関門海峡に架かる関門橋。老朽化が進む既存の道路インフラのイメージ
本州と九州を結ぶ唯一無二の大動脈、関門橋。開通から半世紀以上が経過し、老朽化への対応が課題になっています(イメージ)

※イメージ画像です。実際の関門橋とは細部が異なります。

彦島活性化推進協議会では、下関北九州道路について「なぜ今、新しい道路が必要なのか」というご質問をよくいただきます。

その答えを考えるうえで欠かせないのが、現在すでに本州と九州を結んでいる「関門橋」と「関門トンネル」という2つの道路の「今」です。

この記事では、2026年7月に国土交通省で開かれたばかりの会議の内容もあわせて、下関北九州道路が期待されている理由を、老朽化と交通量という切り口から整理します。

本州と九州を結ぶ道路は、今もこの2つだけ

現在、自動車で本州と九州を行き来できる道路は、「関門橋」(関門自動車道)と「関門トンネル」(国道2号)の2ルートに限られています。

どちらも関門海峡の最も狭い場所、下関市の壇ノ浦付近に集中しており、この一帯が使えなくなると、本州・九州間の陸路そのものが途絶えてしまう構造になっています。

2つの道路は、いずれも高度経済成長期に整備されたインフラです。まずは、それぞれの現状を見ていきます。

関門橋の52年 — 開通当時「東洋一」、今は老朽化対策の最中

関門橋は1973年(昭和48年)11月14日に開通した吊り橋で、全長1,068m・最大支間712mは、開通当時、日本国内はもとより東洋一の規模を誇りました。

交通量は開通時の1日あたり約1万台から、現在は約3万6千台まで増加し、この40年余りで累計約3億6千万台もの車両が渡ってきたとされています。

開通1973年(昭和48年)11月14日
規模全長1,068m・最大支間712m(吊り橋)
管理西日本高速道路株式会社(NEXCO西日本)
交通量開通時 約1万台/日 → 現在 約3万6千台/日
役割本州・九州間の長距離交通を主に担う

開通から40年が経過した2011年度からは、補剛桁や主塔の再塗装、支承・ボルトの交換、橋台部の床版補修や舗装打ち替えなど、5年がかりの大規模な補修工事が行われました。

関門海峡特有の強い潮風にさらされ続けるため、橋の基礎や構造部には腐食や劣化が進みやすく、今も定期的な点検・補修が欠かせない状態が続いています。

関門トンネルの68年 — 交通量は減少も、老朽化と事故のリスクは深刻

関門トンネル(国道2号)は、1958年(昭和33年)3月9日に開通した海底トンネルです。着工から21年もの歳月をかけて完成した、当時としては大規模な土木事業でした。

交通量は1973年の関門橋開通後も増加を続け、2003年度には1日平均3万5,600台とピークを迎えましたが、その後は関門橋を選ぶ車が増えたことで減少に転じ、2023年度は1日平均2万5,200台となっています。

開通1958年(昭和33年)3月9日
区分国道2号(NEXCO西日本管理・ETC非対応)
交通量2003年度ピーク 約3万5,600台/日 → 2023年度 約2万5,200台/日
役割山口県・福岡県間の生活交通を支える
課題対面通行によるはみ出し事故が毎年発生

交通量そのものは減っているものの、課題は別のところにあります。関門トンネルは、NEXCOが管理する道路の中で唯一ETCが導入されておらず、両側の料金所での渋滞が発生しやすい構造です。

また、トンネル内部は対面通行のため、反対車線へはみ出す事故が毎年のように起きています。開通から60年以上が経過し、修繕費や維持管理の人件費も増加傾向にあるとされています。

関門橋とトンネルは「競合」ではなく「役割分担」

「橋とトンネル、どちらか一方で十分ではないか」と思う方もいるかもしれません。しかし2026年7月16日に開かれた国の会議では、この2つの施設は競合するものではなく、異なる役割を担っているという整理が示されました。

関門橋は高速道路として「本州・九州間の長距離交通」を主に担い、関門トンネルは一般道路として「山口県・福岡県間の生活交通」を支える、という使い分けです。

つまり、関門橋か関門トンネルのどちらかが使えなくなった場合、単純にもう一方で肩代わりできるわけではなく、それぞれが担ってきた交通の性質そのものが失われるリスクがあるということになります。

もし両方とも同時に使えなくなったら

関門橋・関門トンネルは、いずれも壇ノ浦付近に集中しています。地震や台風などの異常気象、大規模な事故が同時にこの一帯で発生した場合、本州・九州間の陸路が完全に途絶える可能性が指摘されています。

実際に、これまでも老朽化に伴う補修工事や事故によって、どちらかの道路が通行止めとなるケースが度々発生してきました。もう一方の道路に交通が集中し、周辺で渋滞が発生することも少なくありません。

下関北九州道路には、こうした「代替路がない」という現状のリスクに対して、第3のルートとして道路網の「冗長性」を高める役割が期待されています。

2026年7月、国の会議が動き出した

こうした課題を踏まえ、国土交通省では本州・九州間の道路ネットワークのあり方を議論する「本州・九州連携小委員会」が設置されています。社会資本整備審議会道路分科会・国土幹線道路部会の下に置かれた会議体で、2026年1月に設置が決まりました。

2026年5月13日に第4回、2026年7月16日に第5回の会議が開かれ、西日本高速道路株式会社(NEXCO西日本)と福岡北九州高速道路公社へのヒアリングが実施されました。

会議では、関門橋(開通52年)・関門トンネル(開通68年)ともに老朽化が進み、主ケーブルや床版、排水設備などの大規模な更新工事が今も継続していることが確認されたと報じられています。

小委員会は、こうしたヒアリングや現地視察の結果を踏まえて「基本方針」を取りまとめ、国土幹線道路部会へ報告する予定です。基本方針は2026年夏頃の策定が見込まれています。

下関北九州道路の現在地

下関北九州道路は、彦島(下関市)と日明(北九州市小倉北区)を結ぶ約8km・完成4車線の計画で、2025年12月23日に都市計画が決定・告示されました。

関門海峡を横断する約2km区間(航路幅1.2km)には、長大な吊り橋が計画されています。都市計画決定を終えた今後は、設計や用地買収といった手続きを経て、ようやく工事着手という段階に進みます。

事業費については、2020年時点で約2,900億円〜約3,500億円という想定が示されていましたが、近年の資材価格や人件費の高騰を踏まえると、今後さらに増加する見込みです。

彦島活性化推進協議会では、地域住民の立場から、こうした国の議論や事業の進捗を継続して確認し、分かりやすくお伝えしてまいります。

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よくある質問

現在、本州と九州を自動車で結ぶ道路は関門橋と関門トンネルの2ルートのみで、いずれも老朽化が進んでいます。両方が同時に使えなくなった場合の代替路がない現状に対し、第3のルートとして下関北九州道路が計画されています。

2026年7月時点で、関門橋は開通から約52年、関門トンネルは約68年が経過しています。国の小委員会でも、主ケーブルや床版、排水設備などの大規模な更新工事が今も継続していると報告されています。

2026年7月の国の会議では、関門橋は「長距離交通」、関門トンネルは「生活交通」という異なる役割を担っていると整理されています。単純にどちらかで代替できる関係ではなく、それぞれ異なる機能を果たしています。

国土交通省の「本州・九州連携小委員会」が、関係機関へのヒアリングや現地視察を踏まえて取りまとめる、本州・九州間の道路ネットワークのあり方に関する方針です。2026年夏頃の策定が見込まれています。

2020年時点では約2,900億円〜約3,500億円と想定されていましたが、近年の資材価格・人件費の高騰を踏まえると、今後さらに増加する見込みです。

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